お墓系女子のつれづれ

墓石業界で働く女子が日々考えていることをつづっています。

申し込みは7月10日まで・都立霊園申し込みの落とし穴!

青山霊園。

都立霊園は広々としたロケーションも魅力ですね。

今日から都立霊園の申し込みが始まりましたね。

都立霊園といえば、「使用料は安いが高倍率」でおなじみです。施設によっては競争率が数十倍に達することもあります。

その一方で、施設ごとに利用条件が定められており、当選しても、使用許可証を手に入れられない人が毎年いる、というのもまた事実です*1

 

今回は、都立霊園について、人々が思っているイメージと現実のギャップについて書いていきたいと思います。

都立霊園は安い?

自治体が運営する墓地は利用料が安い、というイメージがあります。しかし、なにせ「都立」なもので、小平霊園や多磨霊園でも1㎡の使用料が100万円弱、都心に近い霊園であれば200万円超えです。しかも募集する場所は全て1㎡を割る区画はありません。民営霊園や寺院墓地に比べたら1㎡あたりでは安いですが、低価格とは言えないですね。しかも、この上に墓石を建てるのですから、予算はかなり多めに見積もる必要がありますね。
ただし、管理費は霊園や寺墓地に比べたら圧倒的に安いです。これは公営ならでは、です。

都立霊園は誰でも申し込める?

基本的にある一定期間都内に住んでいなければ申し込めず、かつ都民だからといって都立霊園の全てのタイプに申し込めるわけではなく、手元に遺骨がないと申し込めません(一部例外あり)。

「一部の例外」について、少しだけ説明します。
まず、八柱霊園は都立霊園と言いながら、実際には千葉県松戸市内にあるので、松戸市民も申し込みが可能です。施設により、居住年数に違いがありますので、この点も注意してください。
また、都立霊園は手元に「埋葬されたことのない遺骨」がないと申し込みができないのですが、八柱霊園と小平霊園の合葬埋蔵施設と小平霊園の樹林型合葬埋蔵施設は生前申し込みが可能です。

詳細については、お申込みのしおりを確認することをおススメします。

都立霊園はいつでもお墓を建てられる?

都立霊園には建墓期限があり、3年以内に建墓し納骨しなければなりません。すでに手元にご遺骨があるのを条件にしているのであれば、十分な期間といえそうです。

都立霊園でお墓を建てるときは、どこに頼む?

都立霊園では、どの石材店でもお墓を建てることができます。
それゆえ、霊園の周辺にはたくさんの石材店が軒を連ねていますし、TVでCMを流しているような某大手石材店は、春ごろから都立霊園申し込みのセミナーや相談会、見学会を開催して、見込顧客を獲得しようとしているわけです。
では、当選した際には、セミナーなり相談会に申し込んだ石材店に必ず建墓を依頼しなければならないのでしょうか?といえば、そんなことはありません。いくつかの石材店に見積もりを取って、一番条件にあったところに依頼する、ということも可能です。
その際には、石の形や種類等、条件を揃えて見積もりを取ってくださいね。

令和元年限定!費用見積もり時に忘れてはいけないこと

そして、例話元年に一般埋蔵施設を申し込みたい人が決して忘れてはならないこと。それは、10月に控えている消費税増税
使用許可証が出るのは12月。つまり、建墓する頃には消費税が10%になっているのです。
墓石および建墓費用は、区画が大き目の都立霊園の場合、決して安いものではありません。したがって消費税が2%上がれば、それなりの金額になるはず。

都立霊園を検討されている方は、この辺りのことも踏まえて、都立霊園を申し込むのか、それとも消費税増税前に民間霊園でお墓を作るのか、を検討してはいかがでしょうか。

 いずれにしても、申し込み期間はスタートしています。素早く情報収集をして、納得のいく決断をしましょう。

*1:申し込み受付時点で、利用条件に合致していない人は弾かれるようにしたらよいような気もしますがね。

「終活」のリアルが判明!お墓業界・葬儀業界の人は瞠目して読もう!

先月、楽天インサイトが終活に関する調査の結果を発表しました。

insight.rakuten.co.jp


調査対象:20代~60代とのことです。インターネット調査だから仕方ないとはいえ、本当にリアルに終活に直面しているであろう後期高齢者が対象に含まれていないのは、少々残念ですが、この内容が思った以上に興味深いです。
このブログの読者の興味とは少々違うかな、とは思いますがご紹介したいと思います。

 

楽天のアンケートによると、終活に対する意識が高いのは30代。しかし、実際に始めるのは60代という結果。
終活でやっておきたいことは「財産の整理」がトップ。次が「身の回りの整理」です。

お墓の販売に関わってきたものとして、この統計で大変気になったのが、やっておきたい「終活」の優先順位のうち「墓の準備」と「葬儀の準備」が案外低いというところ。
さらに言うと、年代別の「やっておきたい終活」においてもリアルに終活をする年代である高齢世代にとって、「墓の準備」「葬儀の準備」とも優先順位が低いのです。
※なぜか、「墓の準備」「葬儀の準備」の優先順位が高いのは、実際には終活にはまだまだ縁遠い30代だったりします。これ、本当に不思議ですよね。

 

この結果を読んで、一つ思い出したことがあります。

先日、勤務先の会社が終活関連業者数社と合同で終活イベントを開催したんですね。その時、会場の立て看板を見つめる女性がいたので、イベントに興味があるのかとお声掛けしたんです。実はその方はイベントの看板ではなく、その隣にあった蜂蜜の看板を見ていたらしいのですが(笑)、話してみると終活自体には興味があるけど、今一つ足を踏み出せない…とおっしゃっていたのです。

「これはチャンスだ」と思い、詳しく話を聞いてみると、悩みとは「現在お住まいの家は持ち家なのだが、現在一人暮らしで子供もおらず、かつ親戚は全員自宅を持っているので、自分が亡くなっても相続してくれる人がいない」というもの。調査の結果の「終活でやっておきたいこと」のトップ、そのものですよね。

住まいは、施設に入ったり、入院して亡くなったりしない限り、なくてはならないものだけに、悩みも深いのも当然ですね。

このことから分かるのは、終活と本気で向き合う年代にとっては、本当に対応すべきは財産の問題であったり、身辺整理であり、葬儀や墓というのは自分で用意するものではない、ということ。


お墓業界や葬儀業界はさかんに「終活」を全面に出して集客をしようとしていますが、この結果を見る限りでは、終活と墓・葬儀はターゲット層の中では結びついていないのです。
さらに言うと、「終活について不安に感じること」という設問において、50代・60代の回答で最も多いのが「不安に感じることは特にない」なんですよね。
私もずっと「終活」をキーワードにシニア層の心をつかむべくセミナーやイベントを開催してきましたが、今一つ手ごたえを感じられなかったのは、実はこのギャップなのではないでしょうか。

そもそも、終活という言葉が誕生したころにこの言葉を盛んに使っていたのは葬儀業界であったと記憶しています。それが「終活」という言葉が一般化していった結果、「終活とは何か」を消費者が定義し、そこには発祥の筈の葬儀の要素が薄くなった、ということなのでしょう。

私達お墓業界の人間も、本当に私達の手助けを求めている人に出会うべく、方向転換をする時が来たのかもしれません。

 

2019年度版 お墓の最新トレンド【2】

 

赤坂不動尊威徳寺は、今回のテーマである自動搬送式納骨堂を供えたお寺です。

節分のお練り(と気前の良い豆配布)で知られる赤坂不動尊


ご好評につき、「お墓のトレンド」第2弾です(自分で言った)。

先日のエントリーで、最近のお墓探しは、「小型化」「低価格化」「永代供養付き」がキーワードであることをお伝えしました。
実は、もう一つ大きなトレンドがあります。それは、「家から公共交通機関で行けるところにお墓を持つ」です。

移動手段の変化

いわゆる公園墓地・霊園が主流であったころは、自動車でお墓参りをする、というのがメジャーでした。郊外に大型霊園が開発され、価格が手ごろであることから大変な人気を博しました。最も人気が高かった頃は、あまりに希望者が多かったので、大型バスを貸切り、お客様を霊園へとお連れしたものです。

しかし、この頃に郊外にお墓を買ったものの、年齢を重ねるにつれ、体力が衰えたり、車の運転に自信がなくなったりして(最近痛ましい事故が多いですよね)、お墓まで自分で車を運転できなくなったかという理由で、新たに自宅から自力で行ける距離にお墓を買い直す人が増えています。

これ、中には自分用のお墓を郊外の霊園に買って、お骨を入れる前に家の近くに買い直す…というケースも少なくないのです。こういう人の場合、以前お墓を購入した時は現役バリバリで働いていましたが、現在ではリタイアしているケースが殆ど。ゆえに日々の生活を年金と預金でまかなっていかなければならないので、お墓にかけられるのはだいたい100万円前後。都内でこれまでのお墓と同様のモノ、となると選択肢はないも同然です。
100万円以下でアクセスが良くて、外のお墓となると、永代供養墓や樹木葬が選択肢として入ってきますが、これらは納骨できる遺骨の数によっては安くもない…ということもあるので、検討するときに、資料を集め、しっかり検討することをおススメいたします。

 

外墓地の代替品から「これがいい!」へ

では、今までの外のお墓により近いお墓を探している人の選択肢に上がってくるのが、自動搬送式納骨堂です。

これは、利用者が参拝口で待っていると、機械が遺骨が入った箱を自動的に搬送してくるというタイプのお墓です。
参拝口には、墓石のような形をしたオブジェがあり、その一部に遺骨が入った箱の側面に貼られた銘板が嵌ることで墓石と一体化したように見えるため、、あたかも外の墓石を前にしているようにお参りができるということ、にもかかわらず外の墓地では必須の掃除や草むしりといった手間は不要、天候にも左右されず快適にお墓参りができるということから、最近ではお墓探しの第一候補はこのタイプ、という人も増えてきています。

自動搬送式納骨堂のメリット・デメリット

自動搬送式納骨堂のもう一つの特長は、どこも駅から近く、アクセスが便利であるということ。寺が経営している施設は、赤坂見附や本郷といった都心部にありながらも、駅から至近という立地の施設もあります。

また、参拝は室内で行うので、掃除は不要ですし、夏の暑い時期や冬の寒い時期のお墓参りも快適、というところもメリットととらえている方が多いです。


その一方で、建物や搬送機の耐久性に不安を感じる方も少なくありません。こればかりは、時間が経ってみないと分かりませんが、運営している寺の建物の中にある、ということは寺が存続する限りは、使い続けられるよう、メンテナンスしてもらえるはずです。この辺りは経営主体のお寺の管理体制次第です。つまり、お寺さん次第です。とはいえ、この部分はいわゆる境内墓地や、納骨堂などお寺が経営するものについては、同じ話なので、良いお寺さんに巡り合うことが大切ですね。

 

超高齢化やそれにともなう認知症患者や要介護者の増加、対する少子化の進行等から、お墓に対する価値観はかつてとは大きく変わってきています。それに合わせて、新しく生まれるお墓も多種多様です。

でも決して見失ってほしくないのは、新しいタイプのお墓が出てきているからと言って、それが必ずしも良い、とは限らないということ。

「ご自身、そしてご家族の価値観に合致するものかどうか」をしっかりと押さえたうえで、お墓探しをしてもらえたらと思います。

 

 

2019年度版 お墓の最新トレンド【1】

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いわゆる「和型」墓石。今でも、お墓といえばこの形を思い浮かべる人が多いでしょう、

「お墓のトレンド」と言われると、「え?そんなのあるの?」という感じしかしませんが…実はあるんです。今回は、そんなお墓の流行り廃りについて書いていこうと思います。

民間霊園の隆盛・墓石の小型化

私が霊園販売に関わり始めたころ、お墓といえば、「和型」と呼ばれる縦長の墓石が主流でした。
外墓地の主流である洋型墓石は、「オルガン型」と呼ばれる横幅が大きいお墓がようやく登場したころでした。

しかし、その後、不況のあおりを受け、お墓にかける費用の相場はどんどん下がっていきます。新しい霊園ができるたびに、安い区画を争って作るようになります。これに伴い、区画一つあたりの広さが徐々に小さくなっていきました。現在では、都心部だと横幅が30cmほど、つまり人ひとり立てるかどうかという程度の区画もあります。なお、気になる価格は、このサイズで墓石含め100万円程度です。
この価格設定は、都心部のお墓を購入したいと考えている人達の相場観が「100万円ぐらい」だからです。
この動きに加え、核家族化・少子化が進んだことにより、家族のかたちはかつてとは大幅に変わり、一人世帯の増加や子供のいない世帯も増えてきています。また、地方の人口は大幅に減少し、一部の大都市圏に人口が集中するようになってきています。

この結果、地方にあるお墓を管理する人がいなくなったり、お墓の後継ぎがいなくなったりと、「お墓は誰かが管理するもの」という前提が成り立たなくなってきているのです。

永代供養墓の登場

そこで、こうしたお墓の将来へ不安を持つ人々に向けたお墓として脚光を浴びるようになったのが、「永代供養墓」です。
永代供養墓にもさまざまな種類があり、遺骨が一つのカロート(納骨室)にまとめられてしまうもの(合祀)もあれば、骨壺のままある一定期間預けられ、それが過ぎると合祀されるもの、などさまざまなタイプがあります。
樹木葬、というのも最近人気です。お墓の後継ぎの心配がないタイプのお墓であることと、「自然に還れる」というイメージから、人気を集めています。
永代供養墓と樹木葬については、どちらも「低価格」というイメージがあり、それもあって人気に拍車がかかっています。

 

 

時代が流れるにつれ、お墓に対する価値観も変化してきています。

ただこれだけは言えるのは、お墓は「流行」で買うものではない、ということ。
自分達のお墓はどうありたいか、よく考えて選んでいただけたら、と思います。

 

 

管理費ってなに?

 
お墓を使っている限り、毎年支払うことになる「管理費」。いったい何に使われているのか、と思う方も少なくないかと思います。
管理費の使い道は、ズバリ霊園の管理です。その多くは、霊園管理を担うスタッフの人件費です。

民間霊園を買い求めるタイミングは、その霊園が販売されている時。つまりチラシであれインターネットであれ、広告が何らかの形で世の中に出ている時期です。そういう時は、販売を行う石材店組合が霊園内の整備をしっかりするので、園内は美しく保たれています。

しかし、全ての区画の販売が終了し、石材店が離れてしまうと、様子が違ってきます。


私が見てきた限りでは、管理費が高い霊園は、定期的に植栽が植え替えられたり、樹木の剪定が行われたり、時間が経った花やお供え物撤去等を定期的に行っていたりと、お参り環境を整える手間を十分にかけています。

その一方で、管理費が安い民営霊園では、植栽の植え替えが定期的にされていないどころか、芝生が枯れていたり、雑草が生え放題になってしまっていたりします。
そう、いくつかの霊園を見比べてみてわかるのは、「管理費の値段に比例して、管理状況は良くなる」という事実です。
「買った時にはすごく良い場所だと思っていたのに、完売してからはアラが目立つようになってきた」と感じるのであれば、実は購入した時の状態を保つには、もっと管理費がかかるはずだったのを、霊園を早く売りたいがために管理費を低く設定していた、と考えられます。
そうしたところは、今後管理費が値上げされるか、もしくは管理費は上がらないものの、荒れた状態が続いていくか、のどちらかになる可能性大です。

最近、「ご遺骨を納めるまで管理費がかかりません!」と謳うお墓がありますが、これは一見お買い得であるように見えますが、こうした事実を知ると、最近よく見るお墓の後継ぎが一応いるというのであれば「管理費がある一定期間かからない」という納骨堂は、大丈夫なのかな…?と不安を覚えるところですね。
必要なものは、きちんと「これだけかかります」と明示してくれるところの方が、結果的に安心だと言えます。

お墓を求めるのは、費用もかかり、いったん買って気に入らなかったからと言って別のところに買い替えられるものでもありません。
決めてを「安さ」にしないよう、お気を付けくださいね。

 

 

 

東京都のお墓、都内と都下でどれほど違うの?

東京都内のお墓と都下のお墓の違い

 

先日投稿した記事にも書いた通り、都内と都下では、お墓を取り巻く事情が全然違います。

今回は、その違いと、東京都周辺でお墓を選ぶに当たっては何を基準にしたらよいのかについてご紹介したいと思います。

 

違いその1:都内のお墓は大きさに対して価格が高く、都下のお墓は安い

基本的に、都内のお墓の価格は、だいたい地価と連動しています。そのため、都心のお墓であればあるほど、価格は高く設定されています。あまりに高いがゆえに売れないことから、卒塔婆の幅と変わらないんじゃないかな?くらいの(0.2㎡~0.3㎡)お墓もありますからね。

これは都立霊園といえども同様で、青山霊園は墓石を建立する区画は広さにもよりますが、永代使用料だけで数百万円です(これで毎年抽選が高倍率になるんだから、富裕層スゴイとしか言いようがありませんよね)。

しかし、都心のお墓は、公共交通が発達していることからアクセスが良く、また街中にあるのでお出かけのついでにお墓参りが出来たり、法事の後の会食の手配も選択肢が多いといった魅力があるのです。

これが環七周辺にある霊園となると、若干価格が下がります。それでも0.5㎡程度の区画に墓石を建立すると100万円超が相場です。

一方、都下のお墓は、同タイプのお墓を都内で買うことを考えると安いです。しかも西へ行けば行くほど安くなりますね。

違いその2:都内の移動は公共交通機関重視、都下は車社会

都内は公共交通機関が発達しており、どこへ行くにも便利ですよね。その一方で駐車場台数をある程度確保できるまとまった土地が確保しずらいのもあり、都内でのお墓の開発は駅から近いところを中心に行われています。

都下は、というと広い土地を確保しやすいので、十分な駐車場を用意することができるのと、近隣の住民もまた車移動がメインとなるので、車での来園を意識した霊園設計をしています。よって、車でお墓参りをしたいという人は、後期高齢者ではないドライバーが複数名いるのであれば、都内在住でも都下にお墓を買うことを選択肢に入れると良いでしょう。

 

違いその3:都内のお墓はコンパクト、都下は大きな霊園の中にサイズのバリエーション豊かなお墓がある。

都内は地価が高いので、それに比例してお墓の値段も高くなります。ゆえに、外のお墓の場合は、人ひとりの幅もないくらいのコンパクトなお墓でも100万円ぐらいの値段がついています(ゆえに、最近は参拝時の見た目がお墓っぽいのに100万円以下で買えるものが殆どの自動搬送式納骨堂が人気であるともいえます)。

都下には、以前から大型霊園が存在しており、そこには昔からの広い墓所もあれば、最近人気の永代供養墓もあり、幅広いバリエーションを提案しています。価格も都内の同種のお墓に比べたら、低価格であることが多いです。

 

では、このような違いを踏まえたうえで、東京都でお墓を買う際の基準について考えていきたいと思います。

お墓を買う上で踏まえておきたい基準3つ 

基準1:利用者(誰がお参りするのか?そもそもお参りする人がいるのか?)

基準2:スタイル(一般的なお墓か、納骨堂か、永代供養墓・樹木葬か)

基準3:予算(お墓にいくらぐらい払えるか?)

基準1と2はどちらを優先するか、悩ましいところですが、私としては基準1を優先することをおススメいたします。その理由は、利用者(=管理者・参拝者)がいる限りは、その人にとって都合の良い場所を選ぶのが一番良いからです。

また、利用者の有無は、基準2の「お墓のスタイル」にもつながっていきます。近い将来に利用者がいなくなることが分かっているのであれば永代供養付きのお墓を選ぶ必要がありますし、当分墓守をする人がいるようであれば、家族や親族が望む供養の形に合う施設を選べ場良いのです。

基準1・2を考慮したうえで、初めてお財布からどれだけ出すか、を考えることが、納得のいくお墓選びへの近道です。

これから東京都でお墓を探そう、という方のお役に立てれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

墓石業界にいる私が知ってほしい、東京都内のお墓探しチェックポイント(外のお墓編)

お墓探しのチェックポイント_外墓地編

 

お墓探しをする際には、必ず一度は現地を見学します。

 

その際に、見るべきポイントを見ずに、先入観や価格、営業マンの対応、雰囲気で決めてしまい、使用することになってから後悔することのないようにしたいものです。

 

そこで今回は、墓石業界勤めの私が、東京都内での霊園探しのチェックポイントを商売抜きでお教えいたします。

 ※なぜ「東京都内」と断りを付けたかと言いますと、都内と都下・他県では霊園の取り巻く環境が全然違うからです。

 

それでは行ってみましょう!

 

(1)永代供養付きかどうか

核家族化・少子化が進む現代において、「将来お墓の後継ぎがいなくなる」という事態はどの人にとっても他人事ではありません。

独身の方やお子様がいない方、子供が結婚して家を出ており、お墓の管理を任せられない等、将来お墓を守ってくれる人がいないという人のみならず、お墓を買う全ての人が確認すべきポイントです。

 

(2)経営主体の宗派は自分の家の宗派とあっているか。

これは、永代供養を考えるうえでとても重要です。なぜなら、永代供養付きというとき、その供養は、経営主体のお寺の宗派の儀式で行われるからです。
「買う時の宗旨宗派を問わないけど、永代供養は●●宗(経営主体のお寺の宗派)の儀式で執り行います」ということに納得できないのであれば、自分の宗派と同じお寺が運営する霊園を探した方が、安心です。

逆に、お墓に入ってしまった後のことは気にしないというのであれば、経営主体が同じであるかどうかは気にしなくても問題ありません。

 

(3)霊園までのアクセス(公共交通機関を使う場合)

 霊園の場合、屋外にある程度の広さを確保する必要もあり、公共交通機関では行きづらいところにあることが多いです。徒歩数分というところはそう多くはありません(お寺の境内にある墓地だと駅至近というところもありますが…)。

見学の際には、霊園の近くまで行くバスの時刻表をチェック。お参りするであろう曜日や時間帯にバスが十分にあるかを見ておきましょう。

また、霊園までの道のりは人通りが少なかったり、車の通行量が多いのに歩道が細くて危ない…なんてこともあります。徒歩ルートが安全か、確認しましょう。

(4)車で行く場合:駐車場の数と距離

車でのお参りを想定しているのであれば、駐車場は大きな要素です。駐車場がどこに何台分あるのか、実際に見ておきましょう。複数の駐車場があるようでしたら、自分が見学時に止めたところだけではなく、他の駐車場の場所も見せてもらいましょう。

また、霊園の規模に対して十分な駐車場が確保されているか、はもちろん駐車場が霊園に隣接しているか、駐車場から霊園までの道のりが危険ではないかも見ておくべきでしょう。

 

(5)合祀墓は敷地内にあるか

お墓を守る人がいなくなると、遺骨は合祀墓に移されます。その合祀墓がどこにあるのか、自分の遺骨は合祀されるときにどこへ行くのか、は確認しておきたいところです。施設によっては合祀墓がない、あっても施設とは別の場所であるところもあります。施設と同じ敷地内にあるところは、「時期が来たらここへ移るんだ」ということが分かって安心ですね。

 

(6)園内の高低差や参道

霊園内では区画ごとに段差があるところもありますので、歩きにくくないか、参道には十分な広さがあるか、段差がないかを確認してください。また、屋外のお墓の場合、雨の日に訪れることもありえますので、参道の水はけも確認できると良いですね。一度現地見学をした後、候補が絞れてきた段階で、雨の日にも訪れてみると安心です。

 

(7)管理棟の設備

霊園には、たいてい管理人が詰めている管理棟があります。そこには、休憩室やお手洗いがあります。お手洗いがバリアフリーであるか、休憩スペースは十分にとられているかも確認しましょう。

また、供花や線香の販売の有無も見ておくと良いですね。

 

(8)水回りの配置

外のお墓では、お墓参り時につきものなのが「お墓の掃除」です。水道や手桶、掃除道具が自分が希望する区画から遠いと、お墓参りの度に大変な思いをするので、これらがどこにあるか、園内に何か所あるかを見ておきましょう。

 

(9)施設内での他宗派の法要の可否

(2)で経営主体の寺の宗派と違う宗派である場合、施設内での法要ができるかどうかは、きちんと調べておきたいところです。施設により、経営主体の宗派と異なる宗派の法要ができるところもあれば、施設内での法要は経営主体の寺のみが執り行うというところもあります。
また、別宗派でも法要を執り行えるが、他寺の僧侶が入館する場合は別途入山料と称して料金を徴収する施設もあります。見学時に確認した方が良いですね。

 入山料については、こちら↓の記事もあわせて読んでみてください。

real-ohakasagashi.hatenablog.jp

 

 

(10)法要室の有無

 

霊園は敷地内に管理人が常駐する建物がありますが、そこに法要室があるところもあります。お墓建立後に年忌法要を行いたいと思っているのであれば、チェックしておきたいところです。

 

(11)会食施設の有無

法要ができるかどうか、と合わせて確認したいのが会食施設の有無です。施設内に会食ができる場所があると移動が少なくて済むので、お身内にご年配の方や小さなお子様がいる場合、法要後の負担が軽減されます。また、施設で会食の手配をしてもらえるかどうかも併せて聞いておきましょう(これがあると、法事の手配が一度に済むので負担が減るのです。)

 

(12)葬儀式場の有無

遺骨が手元にない人は、これは調べておくと良いと思います。遺骨を納める場所に葬儀式場があると、葬儀の際に親戚にお墓の場所を案内できると喜ばれる方が多いんです。地味ではありますが、葬儀式場がお墓と同じ場所にあるって、意外と大きなメリットなんですよね。

 

(13)遺体安置設備の有無

これは、(12)と連動してきます。近年、都内や横浜市川崎市では亡くなってから葬儀が執り行われるまでに1週間ほどかかる場合があります。その間、ご自宅に安置できれば良いのですが、安置スペースを確保できるわけではありません。自宅で安置できない場合は、外部の安置施設を利用することになりますが、その場合安置料に加え、安置施設から葬儀式場への搬送費もかかります。
もし、上の設問で「葬儀式場があるなら、ここで葬儀したいなあ」と思った人は、安置設備の有無を確認し、できれば見せてもらうと良いでしょう。

 

(14)管理スタッフの人数

快適な参拝環境を守ってくれるのは、スタッフです。特に外のお墓は、お参りに来る人がそれぞれのお墓にお供えものやお花を用意します。それらが枯れたり荒らされたりしないよう適当な時期に取り除いたり、参道を掃除したり植栽を定期的に植え替えるには人手がどうしてもかかるものです。

施設の規模に対して十分な人数のスタッフがいるかどうか、またその働きぶりがどうであるか、ご自分の目で確認しましょう。

 

(15)休憩スペースの数

 

広い霊園の場合、お墓の掃除を終えてお参りをしたところで、疲れを感じることもあります。その時に、管理棟まで戻らなくてもちょっと腰かけられるベンチが参道にあると、年配の方がいる場合は安心です。

特に、春・秋のお彼岸やお盆時期などお墓参りをする人が多い時期は、休憩スペースがいっぱいになってしまうことも。

霊園の周りには、お墓参り帰りにちょっとお茶できるようなところがない場合もあるので、園内でちょっと落ち着ける場所があるのは地味に大事です。

 

 こんな感じでしょうか。参考にしていただければ幸いです。