お墓系女子のつれづれ

墓石業界で働く女子が日々考えていることをつづっています。

「終活」のリアルが判明!お墓業界・葬儀業界の人は瞠目して読もう!

先月、楽天インサイトが終活に関する調査の結果を発表しました。

insight.rakuten.co.jp


調査対象:20代~60代とのことです。インターネット調査だから仕方ないとはいえ、本当にリアルに終活に直面しているであろう後期高齢者が対象に含まれていないのは、少々残念ですが、この内容が思った以上に興味深いです。
このブログの読者の興味とは少々違うかな、とは思いますがご紹介したいと思います。

 

楽天のアンケートによると、終活に対する意識が高いのは30代。しかし、実際に始めるのは60代という結果。
終活でやっておきたいことは「財産の整理」がトップ。次が「身の回りの整理」です。

お墓の販売に関わってきたものとして、この統計で大変気になったのが、やっておきたい「終活」の優先順位のうち「墓の準備」と「葬儀の準備」が案外低いというところ。
さらに言うと、年代別の「やっておきたい終活」においてもリアルに終活をする年代である高齢世代にとって、「墓の準備」「葬儀の準備」とも優先順位が低いのです。
※なぜか、「墓の準備」「葬儀の準備」の優先順位が高いのは、実際には終活にはまだまだ縁遠い30代だったりします。これ、本当に不思議ですよね。

 

この結果を読んで、一つ思い出したことがあります。

先日、勤務先の会社が終活関連業者数社と合同で終活イベントを開催したんですね。その時、会場の立て看板を見つめる女性がいたので、イベントに興味があるのかとお声掛けしたんです。実はその方はイベントの看板ではなく、その隣にあった蜂蜜の看板を見ていたらしいのですが(笑)、話してみると終活自体には興味があるけど、今一つ足を踏み出せない…とおっしゃっていたのです。

「これはチャンスだ」と思い、詳しく話を聞いてみると、悩みとは「現在お住まいの家は持ち家なのだが、現在一人暮らしで子供もおらず、かつ親戚は全員自宅を持っているので、自分が亡くなっても相続してくれる人がいない」というもの。調査の結果の「終活でやっておきたいこと」のトップ、そのものですよね。

住まいは、施設に入ったり、入院して亡くなったりしない限り、なくてはならないものだけに、悩みも深いのも当然ですね。

このことから分かるのは、終活と本気で向き合う年代にとっては、本当に対応すべきは財産の問題であったり、身辺整理であり、葬儀や墓というのは自分で用意するものではない、ということ。


お墓業界や葬儀業界はさかんに「終活」を全面に出して集客をしようとしていますが、この結果を見る限りでは、終活と墓・葬儀はターゲット層の中では結びついていないのです。
さらに言うと、「終活について不安に感じること」という設問において、50代・60代の回答で最も多いのが「不安に感じることは特にない」なんですよね。
私もずっと「終活」をキーワードにシニア層の心をつかむべくセミナーやイベントを開催してきましたが、今一つ手ごたえを感じられなかったのは、実はこのギャップなのではないでしょうか。

そもそも、終活という言葉が誕生したころにこの言葉を盛んに使っていたのは葬儀業界であったと記憶しています。それが「終活」という言葉が一般化していった結果、「終活とは何か」を消費者が定義し、そこには発祥の筈の葬儀の要素が薄くなった、ということなのでしょう。

私達お墓業界の人間も、本当に私達の手助けを求めている人に出会うべく、方向転換をする時が来たのかもしれません。